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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(オ)566号 判決 1954年1月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由について。

売買の当事者双方が商人である、いわゆる商事売買の場合でも、売買の目的物の瑕疵又は数量の不足を理由として、契約を解除し、又は損害賠償若しくは代金の減額を請求するのは、民法の売買の規定に依拠すべきものである。しかして、民法の規定によれば、買主が売買の目的物に瑕疵あることを理由とするときは、契約を解除し、又は損害賠償の請求をすることはできるけれども、これを理由として代金の減額を請求することはできない。商法五二六条は以上民法で認められた売買の担保責任に基く請求権を保存するための要件に関する規定であつて、民法の規定するところ以外に新な請求権をみとめたものではないのである。原判決もこれと同趣旨であつて、論旨は理由はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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